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TMJP - Topic Maps Japan 2010

Identified Subjects Networking

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  2010.2.25     
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TMJP 2010

  発表

  1. 地域情報学とトピックマップ
    原 正一郎 (京都大学地域研究統合情報センター)

    要旨

    地域研究は地域の社会・文化・環境などの構造を人間活動とともに様々な視点から総合的に理解する、つまり地域を「読み」・「解き」・「語る」ことを目的とした学際的研究領域の一つである。これに対して情報学とは、明確な「ノルム」と「手続き」を導入し、多様なデータを「比較・再現」可能な状態で「客観的」に処理する手法に関する学問である。この情報学的手法を地域研究の一領域として位置づけ、地域研究データを計量的に処理する試みを地域情報学と呼んでいる。

    発表者らのH-GIS研究会(http://www.h-gis.org)では、地域情報学に関する研究を進めている。特に、計量化の対象として事象の時空間属性に注目し、その情報モデル、HuMapおよびHuTimeと称する時空間情報処理ツールの研究開発を継続している。また時空間データ構築支援のために、デジタル地名辞書と暦日テーブルを構築している。さらに、地域研究に関連する多様なデータベースと、これらの統合検索を目指した資源共有化システム(resource sharing system)の構築も進めている。

    しかし、地域により言語が異なり、研究領域により手法や語彙が異なっているため、言語や語彙の違いを乗り越えたデータ統合や処理は、時空間属性など少数の定量的データを除くと実現していない。そこで、語彙に注目して事象・事物・概念などとそれらの関係・意味などを扱う情報学的な枠組みとして、オントロジーに注目している。オントロジーの記述法としては、セマンティックWebやTopic Mapsなどが提案されているが、京都大学地域研究統合情報センターでは記述が比較的単純なTopic Mapsの利用を試みている。

    発表スライド

    原 正一郎

    京都大学地域研究統合情報センター教授
    〒606-8501 京都市左京区吉田下阿達町46
    E-mail: shara@cias.kyoto-u.ac.jp

    1. 1987年3月:東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(医学博士)
    2. 1989年4月:国立リハビリテーションセンター研究所・非常勤研究員
    3. 1989年6月:文部省大学共同利用機関・学術情報センター・助手
    4. 1991年9月:文部省大学共同利用機関・国文学研究資料館・助教授
    5. 2006年8月:京都大学地域研究統合情報センター・教授



  2. ☆ TMRA 2009 トピックマップコンテスト一等賞受賞記念講演
    Topic Maps駆動型のWeb学習ポータルの開発
    松浦 執 (東京学芸大学教育学部)

    要旨

    報告者はこれまでに、自作コンテンツをもとに、初等物理学全般にわたるe-Learningを公開,運用してきた.本研究では、Topic Mapsを用いてこれを大きく拡張し,物理・化学・生物・地学の4分野全体を中心としつつ,日常生活から持続性にわたる諸分野の主題を結合し,開拓的な学習を可能にする学習ポータルを開発し,公開を開始した.分野ごとの知識をtopic mapに構造化することによって、オリジナルのコンテンツのみならず、web上の多数の優れたコンテンツを組み合わせた学習ポータルとすることができる。様々な分野のトピック間の関連を活用することで、知識を探索しやすくなるとともに,学習者に有機的な知識の形成を促進することが期待される.さらにTopic Mapは,YouTubeやGoogle Earthをはじめとする外部サービスのマッシュアップを系統的、機能的に活用する上でも有用である.また、Topic Maps Remote Access Protocolを用いてtopic map間をトピックの同一性に基づいて結合することが可能であり,今後はトピックマップシステムの連携による知識探索の実装も進むものと予想される.

    発表スライド

    松浦 執

    理学博士(1990年名古屋大学)
    略歴:

    1. 1988年 名古屋大学大学院理学研究科満了
    2. 1991年 東海大学開発技術研究所助手
    3. 1995年 東海大学理学部助教授
    4. 2008年 東海大学開発工学部情報通信工学科准教授
    5. 2009年 東京学芸大学教育学部理科教育学分野教授

    研究歴:

    1. 2002年頃まで、糸状菌コロニーのパターン成長の培養実験およびコンピューターモデル実験の両面から研究。
    2. 2000年ごろから、初等物理学のe-Learningシステムおよびコンテンツの構築研究。
    3. 2008年からTopic Mapsを用いたweb学習システムの構築研究。



  3. Wiiで制御する星座トピックマップアプリケーションの開発
    天野 公貴, 河原崎 幸之介、和氣 聡、松浦 執 (東京学芸大学教育学部)

    要旨

    我々はトピックマップを利用した学習ポータル“Everyday Physics on Web”http://tm.u-gakugei.ac.jp:8080/epw/ を開発している。本研究では、その天文分野での星座検索システムの開発を行っている。従来の星座早見表と同様に星座を表示するだけでなく、表示された星座が実空間でどの方向に観測できるか、また実空間で見ている星が何の星座であるかを表示するアプリケーションを目指している。本システムでは、家庭用ゲーム機として普及しコンピューターとのインタラクションが可能なWiiをインタフェイスとして導入した。ユーザーがWiiRemoteで指示する実空間の方向の星座データを検索するなどが可能になる。星座の表示にはGoogle Sky を活用している。

    発表スライド

    天野 公貴

    2007年 東京学芸大学初等教育教員養成課程

    河原崎 幸之介

    和氣 聡

    1. 2003年 埼玉県立越谷北高等学校
    2. 2007年 東京学芸大学教育学部初等教育教員養成課程

    松浦 執



  4. 人文知を再配置する ― 東京大学大学院 情報学環・学際情報学府における知のコンシェルジェを用いた知識ネットワークの構築
    阿部 卓也 (東京大学大学院 情報学環学術支援専門職員 / 武蔵野美術大学), 中路 武士(東京大学), 谷島 貫太 (東京大学), ブレンダン・ディーガン(東京大学)

    要旨

    我々は、複雑化し分散した大学の知(特に人文知)を、IT技術を用いて再構造化し、可視化するプロジェクトに取り組んでいる。その一環として、トピックマップ技術を応用して日立システムアンドサービス社が開発した知識マネージメントシステム「知のコンシェルジェ」を、大学の研究や教育に導入する実験をおこなっている。同社との共同研究では、これまでに、学術書やメディア分析事典から抽出した概念項目のネットワーク化などを試みてきた。本発表では、とりわけ修士1年の授業に同システムを導入した事例を中心に報告する。文献講読のクラスにおいて、読了した文献の概念トピックマップを学生に制作させ、受講生の理解度を有機的ネットワーク状態で把握する試みである。実験の主要な成果として、1)学生個人が制作した概念ネットを、他の学生の成果と重ね合わせることで、文献への理解度を集団的な配置として可視化することが可能となった。また、2)提出されたネットワークを教員が観察することで、学生の読解が不十分だった箇所を「ネットワークの不備」という具体的な形式で抽出することが可能となった。

    発表スライド

    阿部 卓也

    1978年生まれ。専門は、情報デザイン、記号論。東京大学大学院 学際情報学府博士課程単位取得退学、現在同大学院情報学環学術 支援専門職員および武蔵野美術大学非常勤講師。

    中路 武士

    1981年生まれ。専門は、映画・視覚文化論、表象・メディア論。 東京大学大学院学際情報学府修士課程修了、現在同博士課程在学中。

    谷島 貫太

    1980年生まれ。専門は、現代思想、技術哲学。東京大学大学院学 際情報学府修士課程修了、現在同博士課程在学中。

    Brendan DEEGAN(ブレンダン・ディーガン)

    1980年生まれ。専門は、日本思想、批評理論。東京大学大学院学 際情報学府修士課程修了、現在同博士課程在学中。



  5. トピックマップを用いたホームサーバコンテンツへのアクセス支援
    南堀 歩, 小町 祐史 (大阪工業大学情報科学部)

    要旨

    DLNA(Digital Living Network Alliance)の普及によって,ホームネットワーク環境では大量かつ多様のコンテンツがホームサーバに蓄えられつつある.大量のコンテンツが複数のホームサーバに分散して記録され,それぞれのホームサーバが互いに異なる体系でコンテンツを扱うと,希望するコンテンツへのアクセスは容易でない。そこでトピックマップを用いてユーザの視点に立ったコンテンツ情報の組織化によって,ホームサーバコンテンツへのアクセス支援を行うことを試みる。

    発表スライド

    南堀 歩

    2010年3月に大阪工業大学情報科学部を卒業予定。

    小町 祐史

    大阪工業大学情報科学部教授。工学博士。ISO/IEC JTC1/SC34(文書の処理と記述の言語)/WG2のコンビナ,およびIEC/TC100(マルチメディアのシステムおよび機器) AGS(戦略諮問委員会)議長として国際標準化活動に参加。



  6. トピックマップを用いた人名典拠情報の可能性
    研谷 紀夫 (東京大学)

    要旨

    歴史資料の中には様々な「異名同人」などが存在するため、歴史上の人物を扱う上ではこれらの統制が必要である。それらを制御するための共有化されたデータベースは現状では存在しないが、主要な人名に関する構造化されたデータベースを構築し、標準的なデータ記述言語によって構造化された人名典拠情報を構築する必要がある。本研究では、これらの背景を踏まえて、トピックマップ形式を用いて、構造化された様々な事物相互の関係が分かる人名典拠情報について解説する。

    発表スライド (未)

    研谷 紀夫



  7. Semantic Enhancement of Digital Archive using Topic Maps CVCE Digital Library case study
    Frederic Andres (国立情報学研究所)

    要旨

    This presentation will focus on the semantic enhancement of multi-lingual multimedia digital archive using topic maps. Examples as case study will come from the CVCE Digital Library and ENA 2010 project. The CVCE digital library is a digital born library on the european integration process (www.ena.lu).

    発表スライド (未)

    Frederic Andres



  8. トピックマップの適用事例
    (筑波大学、杉本研究室)

    要旨



  9. 識別された主題のネットワーク
    内藤 求 (京都大学地域研究統合情報センター)

    要旨

    トピックマップでは、トピックが表している主題を同定/識別するための主題識別子 (Subject Identifier) を割当てることができる。主題識別子として、主題ごとにユニークな IRI (Internationalized Resource Identifier) を割当てて公開したものをPSI(Published Subject Identifier)と呼ぶ。

    本発表では、最初に、PSIに基づくトピックマップ間の連携の事例を示し、その連携を可能にしている構成要素を説明する。次に、地域研究統合情報センターでの取組みも含めて、最近取組んでいる件名標目(NDLSH, BSH, LCSH) や地名辞書などのトピックマップ化を紹介する。各トピックをPSIにすることで、共通語彙、共通主題としての役割を果たし、トピックマップおよびトピック間の連携の機会を増やすことができると考える。最後に、特化、専門化され品質が保障されたトピックマップ群およびその中のトピック群が識別された主題に基づいて緩やかに連鎖する "識別された主題のネットワーク" を提案する。

    発表スライド

    内藤 求

    株式会社ナレッジ・シナジー 代表取締役
    京都大学地域研究統合情報センター 客員准教授
    〒444-1331 愛知県高浜市屋敷町 3-3-1
    E-mail: motom@green.ocn.ne.jp

    1. 1974年4月 : 愛知工業大学工学部電子工学科卒業。
    2. 1974年4月 : 株式会社ソフトウエアマネジメント入社、各種ソフトウェア開発プロジェクトに従事。
    3. 1995年4月 : 株式会社シナジー・インキュベート設立 (発起人の一人として参画)、SGML, XML, Topic Maps等の各種プロジェクトに従事。
    4. 2001年4月より、ISO/IEC SC34 専門委員会委員として Topic Maps の国際標準策定作業に参加。
    5. 2003年11月 : 株式会社ナレッジ・シナジー設立、Ontopia社 (ノルウェー) 後に Bouvet社との協力関係のもと Topic Maps 製品の販売、Topic Maps 関連プロジェクトに従事。また、BAYESIA社 (フランス) との協力関係のもと Bayesian Network 製品を販売。
    6. 2006年12月 : 数名の共著者とともに、単行本「トピックマップ入門」を出版。